神社の正しい参拝方法や作法・お賽銭の歴史を解説!

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神社

毎年多くの方が神社へ初詣に訪れるように、神社は日本人の祈りの原点といえます。しかし正しい参拝方法や作法について、あまりよく知らない方も多いでしょう。また、なぜお賽銭を供えるのか、その理由もわからない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、神社の正しい参拝方法や作法、お賽銭の歴史について解説します。

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鳥居は俗界と神域を隔てる神社の結界

神社へ参拝する際、まず向かうことになるのは鳥居です。神社の入り口に必ず設置されている鳥居は、俗界と神域を隔てるものです。つまり、鳥居よりも内側の区域が神聖な場所であることを示しているわけです。

また、外部から神域へ邪気が入らないようするための結界という役割も担っています。しばしば鳥居が赤く塗られているのは、古来、赤色には魔除けの力があると考えられたためです。

鳥居をくぐる際は、その前でいったん立ち止まって姿勢を正し、帽子をかぶっていたらそれを取って一礼します。神社によっては、一の鳥居、二の鳥居といった具合に複数の鳥居が立っているところもありますが、鳥居をくぐる前にはその都度、一礼をして進むようにしましょう。

できれば一の鳥居から順にすべての鳥居をくぐったのち、拝殿へと向かう形が理想です。

鳥居をくぐったあとは、参道を歩くことになります。その際、けっして真ん中は歩かないように気を付けてください。参道の中央部は「正中」といい、神の通り道にあたるためです。人がそこを歩くのは非礼にあたることから、参道では端を歩くのが正式な作法です。

手水舎の正しい作法

参道を進むと、拝殿へと向かう途中に手水舎が置かれています。手水舎は拝礼前に心身を清めるための場所であり、参拝の際には手水舎で手や口を清めるのが作法です。かつては神社近くの川や海などで心身を清める形が一般的でしたが、そういった風習が簡略化され、境内に手水舎が設けられるようになったのです。

手水舎では、まず右手でひしゃくを取って水をくみ、それを左手にかけて洗い清めます。次にひしゃくを左手に持ち替えて右手を清めます。その後、再びひしゃくを右手に持ち替えたら、左の手のひらに水を受け、それで口をすすぎます。そして最後に左手を清め、ひしゃくを垂直に立てて流れる水でひしゃくを洗い清めたのち、元の場所に戻します。

ひしゃくで水をくむのは一度だけにしましょう。少しずつ水をかけていくのがポイントです。また、口をすすぐ際にはひしゃくに直接口をつけないようにしてください。水も飲み込まずに吐き出します

こうして心身を清めたのち、いよいよ拝殿へと向かいます。そもそも神社の祭神がまつられているのは本殿ですが、本殿は神聖な場所であり、人が立ち入れない聖域であることから、神を拝む場所としての拝殿が設けられました。

まず初めに拝殿前で軽く一礼(15度くらいのお辞儀)をし、その後、拝殿へ進んで再度一礼(45度くらいのお辞儀)をします。

たいていの神社には拝殿前に賽銭箱が置かれ、鈴が吊り下げられているので、賽銭箱にそっと金銭を入れ、鈴を鳴らしたのちに拝礼をおこないます。鈴の音には、邪気を払い、神を招く力があるとされています。

拝礼は、姿勢を正して二度礼(90度くらいのお辞儀)をし、二度柏手を打ち、最後にもう一度礼(90度くらいのお辞儀)をする「二拝二拍手一拝」の形でおこなうのが一般的です。その後、神前から少し下がった位置で一礼(15度くらいのお辞儀)をすると丁寧です。

なお、神社によって参拝作法が異なることがあります。

お賽銭として金銭を供え始めたのは室町時代

もともとお賽銭は金銭ではありませんでした。古くは農作物や海の幸、山の幸を神前に供えていたのです。なかでも、とくに重要視されたのは米でした。

米は、皇祖神・天照大御神によって授けられた神聖な食べ物だとされています。人々は神に与えられた恵みに感謝し、収穫した米をお供えすることで翌年の豊作を祈りました。

その際、米は白紙に巻いて包み、「おひねり」として供えました。米を白紙に包んで供える習慣は、いまも各地に残っています。また、金銭を「初穂料」として神社に奉納するのも、米をお供えしていた頃の名残です。

その後、貨幣経済が発達するなか、米ではなく金銭を供えるようになりました

平安時代の天台宗の僧・円仁が著した『入唐求法巡礼行記』によると、中国ではすでに9世紀から仏前への散銭が一般化していたということです。日本では遅れて室町時代以降に散銭が盛んとなり、紙に包まずにそのまま銭を神仏の前に投げるようになったといわれています。

賽銭箱の起源については定かではありませんが、室町時代の僧・快元の著『快元僧都記』には「天文9年(1540)に鎌倉の鶴岡八幡宮に散銭櫃が置かれていた」とあることから、やはり室町時代には神社に賽銭箱が置かれていた様子がうかがえます。

その後、貨幣社会の浸透とともに、各地の神社の社殿前に賽銭箱が置かれていったといわれます。

賽銭箱の形状は、一般的には長方形で、上部がはしご状になっているものが多い傾向にあります。これは、古来神前に海や山の幸を供えた形にちなんでいると考えられています。

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