神社の豆知識|「神道」ってなに?仏教やキリスト教とはどこが違う?

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自然の中に神の姿を見出した日本人

 神道とは、簡単にいえば「日本固有の民族宗教」のことです。ただし、キリスト教や仏教などほかの宗教とはちがい、教祖や経典はありません。日本人が育んできた長い歴史のなかで自然発生的に誕生した宗教といえます。

 大昔の日本人は、万物のあらゆるものに精霊が宿ると信じ、人間の力を超越したそれらの存在を「神」として畏れ、敬ってきました。すでに縄文時代にはそのような信仰形態が存在していたといわれ、各地の縄文遺跡からは祭祀址が見つかっています。また、長野県の諏訪大社で行なわれる御柱祭おんばしらまつり(巨大なモミの木を4本境内に立てる)や御頭祭おんとうさい(シカの頭を神に供える)などの祭祀は農耕開始以前の祭祀の形をいまに伝えてくれています。

諏訪大社の御柱祭の様子。

 その後、縄文晩期から弥生時代にかけて大陸から稲作が伝来すると、祭祀の形は大きく変化を遂げることになります。

 稲作の伝来により、人々はそれまでの狩猟・採集の生活よりも大量に、かつ安定的に食糧を得られるようになりました。しかし収穫量は、天候や自然災害などに大きく左右されます。雨がまったく降らなかったり、日照が不足したり、台風が発生したりすると、当然、稲の生育に影響が出ますし、場合によってはまったく米を収穫できないといった最悪の事態も起こり得ます。

 ですが、天候や自然災害は人間の力ではどうすることもできません。そこで人々は、神に豊穣を願うようになりました。また、祖先の霊を神と見なし、農地を開拓したことを敬う祭祀も行なわれるようになっていったのです。

各地の神社では毎年祭りが行なわれ、豊作の祈願や実りへの感謝が捧げられてきた。

仏教の伝来で意識された神道という宗教

 こうした祭祀はそれぞれの共同体で独自に行なわれていましたが、4世紀にヤマト政権が日本を統一すると、徐々に国家としての祭祀体系が整えられていきました。

 6世紀に大陸から仏教が伝来すると、日本人のなかで「神道」という宗教が意識されるようになります。実際、『日本書紀』用明天皇即位前紀(588年)に「天皇すめらみこと仏法ほとけのみのりけたまひ、神道を尊びたまふ」とあるように、「神道」という言葉が文献に登場するようになるのです。

『日本書紀』に見える「仏法」の言葉。

 また、仏教の伝来によって仏像を安置するための寺院が各地に建立されるようになると、神を祀るための建造物が必要であるとの考えが生まれ、恒常的な社殿が築かれるようになりました。

 律令制度(律は刑法、令は行政法のこと)が整備された7世紀後半から8世紀ごろには、神社制度も成立します。これにより、全国各地に祀られていた個別の神社が国家祭祀の体系に組み込まれ、国家安泰と五穀豊穣を祈る場所とされました。

 なかでも霊験あらたかとして朝廷からの崇拝をとくに集めた二十二社(伊勢神宮・石清水いわしみず八幡宮・賀茂神社・松尾大社・平野神社・伏見稲荷大社・春日大社・大原野神社・大神おおみわ神社・石上いそのかみ神宮・住吉大社・日吉大社・梅宮大社・吉田神社・廣田神社・八坂神社・北野天満宮・丹生にう川上神社・貴船神社のこと。1081年に二十二社奉幣制度が確立)などには貴族や有力な武士らがこぞって荘園を寄進したため、格式の高い神社は諸国に神領を持つようになりました。そこには本社の分霊が勧請されたため、大社の分社が諸国に祀られるようになったのです。

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