京都の夏の風物詩である祇園祭。この記事では、祇園祭がいつから始まったのか、どんな神様をお祀りするのか、歴史や由来を簡単に解説します。
疫病は悪霊のせい!
現在の7月に相当する旧暦の6月は気温、湿度がともに高く、昔から病気にかかりやすい時期とされてきました。そのため疫病退散を願い、各地の神社で疫病を鎮めるための夏祭りが行なわれるようになったのです。
なかでも代表的な夏祭りが、京都で行なわれる祇園祭です。
祇園祭は7月1日の吉符入りからはじまり、約1か月にわたって営まれます。とくにお囃子の音色とともに絢爛豪華な山鉾が京都の町を巡行する山鉾巡行は、人々の目をくぎ付けにします。
もともと祇園祭は、平安時代中期にはじまった御霊会が起源とされます。その昔、疫病や災害が起こるのは報われない死を遂げた怨霊の仕業によるものと考えられていました。そこでこれらの霊を鎮めるために御霊会が営まれるようになったのです。
たとえば貞観11年(869)、全国で疫病が流行しました。この被害をもたらしたのは祇園社の祭神・牛頭天皇の祟りによるものと考えられ、同年6月、全国の国の数と同じ66本の矛を立てて祭りが催されました。また、洛中の男児が神輿を神泉苑に送り、災厄の除去が祈願されました。
これを祇園御霊会といいます。10世紀以降、年中行事として大々的に行なわれるようになりました。
その後、南北朝時代に現在のような山鉾巡行が始まり、室町時代には町々で特色ある山鉾がつくられるようになりました。安土桃山時代には贅を尽くした絢爛豪華な山鉾も登場します。
こうして祇園祭が年々盛んになると、各地の神社で催される夏祭りも大規模なものとなりました。つまり、現代の夏祭りの起源は祇園祭にあるといっても過言ではないでしょう。
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