浮世絵江戸の暮らし|駕籠に乗って吉原遊廓へ向かう江戸っ子【初代歌川広重『新吉原衣紋坂日本堤』】

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日本史
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浮世絵DATA

タイトル:『江戸高名会亭尽 新吉原衣紋坂日本堤』

作者:初代歌川広重

制作年:1830年代

浮世絵解説

 日本堤は隅田川の掘割に沿って築かれた堤のことで、現在の浅草7丁目から三ノ輪まで約1・4キロを結ぶ。堤の中ほどには江戸最大の遊廓・新吉原へと続く五十間道があった。

 浮世絵には駕籠に乗って新吉原へと向かう人々が描かれている。

 現代のタクシーに相当する乗り物である駕籠は、当初駕籠は身分の高い者の乗り物で、延宝3年(1675)まで庶民が乗ることは禁じられていた。

 しかし経済が豊かになるにつれて庶民からも駕籠を利用したいとの欲求が高まり、幕府はこれを容認。これにより、庶民が乗ることができる辻駕籠の営業が認められるようになった。

 辻駕籠は4本の竹を柱とし、割竹で編んだ簡素なもので、雨風をしのぐためのすだれが垂らされていた。

 料金は1里(約4キロ)につき約400文(約1万円)。たとえば日本橋から新吉原遊郭までは金2朱(約1万2000円)ほどかかった。目的地に着いてから料金を支払うスタイルなのは、いまと同様である。

 安政年間(1854~60年)には町ごとに駕籠屋があったという。

 そのほか、街道を行く旅人が利用した「宿駕籠(屋根とむしろで覆っただけの簡易的な駕籠)」、江戸と京都間を4日半で走破する「早駕籠(簡易的な駕籠を4人で担ぎ、1人が前棒を引っ張り、1日が後ろ棒を押して速度を出す)」などがあった。

 なお、大名などの貴人が乗る駕籠は「乗物」と呼ばれて区別されていた。

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