初詣はいつから始まった?由来や起源を簡単に解説!

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神事
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身体を清めて歳神を迎える

 お正月といえば、やはり初詣。神田明神や川崎大師などの有名な社寺は毎年多くの人でにぎわいを見せます。

 正月にやってくる神は「歳神」と呼ばれます。一般的には福徳を司る神とされています。一方、「トシ」は古語で米を意味するように、「米の神」でもあります。

 もともと正月は「神祭り」の月にあたるため、大晦日の夜に身体を清め、夜通し忌み籠りをして歳神を迎えるという風習がありました。歳神は遠くからやってくると考えられたため、目印として門や玄関などに門松注連縄等が設置されました。この風習が、初詣の原型であると考えられています。

 現在のように庶民の間で初詣が盛んに行なわれるようになったのは江戸時代のことです。歳神がたずねてくるとされた恵方にある神社への参拝、いわゆる「恵方参り」が流行し、氏神ではない神社への参拝が一般化するようになりました。

 ただし、初詣は厳粛な忌み籠りの最中であることから、参拝の途中には決して誰とも口を利いてはならないとされました。もしうっかり誰かと言葉を交わそうものなら、初詣はやり直し。いったん家に戻って身体を清めてから、再び目的の神社へと向かいました。

初詣時に用いた暦

 歳神がやってくるとされた恵方とは、陰陽道の考えに基づくものです。たとえば2022年は北北西、壬の方角が大吉にあたります。恵方は「明けの方」とも呼ばれます。

 それでは、江戸時代の庶民はいったいどのようにして恵方を知ったのでしょうか。

 庶民が恵方を知るために使ったツール、それは暦です。現代でいうところのカレンダーにあたります。

 これは、文政3年(1820)に発行された懐中暦です。画面中央上に「歳徳(歳神)」の文字が見え、その横に「明けの方」「申酉の間」と書かれています。つまりこの年の恵方は「庚」、西南西であることがわかります。

 人々はこのような暦を参考とし、恵方にある神社参詣を行なったのです。

 ちなみに、恵方は西暦の下一桁を見ることですぐにわかります。下一桁が0と5の年は西南西、1と6の年は南南東、2と7の年は北北西、3と8の年は南南東、4と9の年は東北東です。

 

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