浮世絵江戸の暮らし|日本橋を渡る大名行列、魚河岸から魚を運ぶ棒手振【歌川広重『東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景』保永堂版】

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日本史
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浮世絵DATA

【タイトル】『東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景』

【作者】歌川広重初代(1797~1858年)

【制作年】天保4~5年(1833~34)頃

浮世絵解説

 東海道の起点である日本橋の朝の風景を切り取った作品。

 早朝、東の空から太陽がのぼりはじめると、明6つ(午前6時頃)を知らせる時の鐘の音が江戸市中に鳴り響き、それを合図として各町の木戸が開け放たれた。手前に見えるのが、その木戸である。

 橋の中央を渡ってくるのは、参勤交代の大名行列。参勤交代には、とてつもなく多額の費用がかかった。少しでも旅費を減らすため、各藩はなるべく朝早くに出立するのが常だった。先頭の二人が担いでいるのは、大名の着替えや日用品などが入った挟箱。行列の中で高く掲げられているものは毛槍という。2本掲げているので、この行列が3万石以上の大名のものであることがわかる。

 一方、橋の手前には、棒手振と呼ばれる行商人が描かれる。当時、日本橋には朝の商いだけで1000両(約1億円)もの金が落ちるといわれた魚河岸があった。漁師から卸された魚は棒手振を通じて江戸の町へと行き渡ったのである。

 棒手振の近くに描かれている立て看板は、「高札」と呼ばれる。庶民に法令を知らしめるために設置されたもので、橋の近くなど人が集まる場所に置かれるのが常だった。

 橋の欄干につけられた装飾は、擬宝珠という。橋の格を示すものであり、江戸市中では、日本橋のほか京橋、新橋と3つの橋のみに配された。

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